華厳構造を詳しく見てみる

 

華厳構造は以下のような式で表されていました。

空間三次元と時間一次元の四次元時空では、一時空点の中に全時空点が畳み込まれるというホログラフィックな構造になっています。

 

ベクトルポテンシャルを使って、華厳構造を表すこともできます。ベクトルポテンシャルは、

ですので、華厳構造は

と書け、さらに電磁場を使うと

と書くこともできます。

 

「光のエネルギーの様々な描像」や「波動性からプランクの黒体輻射の公式を導いてみる」の中でやったように、空間三次元部分だけをフーリエ変換してみると、電磁場のエネルギーは以下のような調和振動子の集合と同等でした。

従いまして、華厳構造は調和振動子の集まりとして

と書くこともできます。つまり、波数三次元と時間一次元の四次元空間では、華厳構造は調和振動子の集合に見えるわけです。

調和振動子には、零点エネルギー(ゼロポイントエネルギー、真空エネルギーとも言う)というものがあり、基底状態でも調和振動子はゆらいでいます。華厳構造は無限の調和振動子の集まりですので、華厳構造のなかには無限の零点エネルギーが埋蔵されていることになります。これは「量子の海」、「量子の大海」と呼ぶにふさわしいものです。

 

そしてその大海の中から、光子や電子など素粒子と呼ばれているものがさざ波のように生成されています。その様子は次の式で見ることができます。

ここで、などは、生成汎関数微分と呼ばれるものです。

まさに、華厳構造のなかから、光の伝播関数が生まれる様をこの式は表しています。

この光の伝播関数が、量子の大海から顕現した「さざ波」です(電子でも全く同じことが言えます。)。

 

華厳構造は大海原に相当します。そのなかで魚が動くと、ピチャっとさざ波がたちます。

光子や電子はそんなものです。私たちはそんなものからできています。そしてそれは粒子と言うよりも、もはや伝播関数という波なのです。

 

自然を表現するときに、日本語(そして通常の言語)では語彙が足りないことを痛感しています。自然の美しさがどうしてもかもしだせません。

これらの様子を「大海」と例えましたが、本当は太平洋の海原とはイメージが異なります。四次元時空では伝播関数で表されるホログラフィック構造(@)であり、空間のみをフーリエ変換すると、無限個の調和振動子の集まり(A)であり、さらに時間もフーリエ変換してみると、1/fゆらぎの積の形(B)になります。

@からは電子や光子の伝播が導き出せますし(「物質と反物質の対消滅と対生成」を参照)、Aからは飛び飛びのエネルギー(プランクのエネルギー量子、「よくわかる量子力学(連続性と非連続性とをつなぐ伝播関数)」を参照)、Bからはエネルギー保存則や運動量保存則がでてきます(「経路積分の運動量・エネルギー表示」を参照)。
そして、これらを遠目で見てやる(期待値をとって平均的振舞いを見てやる)と、シュレディンガー方程式の波動関数が導き出され(時間を虚数にすれば統計力学にすら変換できる)、さらにプランク定数のオーダーに比べてマクロな視点で見てみると古典力学(古典力学的軌道)が見えてきます(「ディアグラツマ(図表)」を参照)。

この大海は、まさに何でも入っている倉庫のイメージです。
同じ倉庫なのですが、見る角度を変えてみると、異なるものが見えてきます。

同じものからあまりにもたくさんのものが表現でき、それらの関係はあまりにも美しすぎるため、とうてい日本語の語彙だけでは説明し切れません。

 

お釈迦様はこのことに気付いたのでしょうか。般若心経のエッセンス「色即是空」を現代物理学的に表現してみますと、このようになるのです。