ファインマンの経路積分から学ぶ人生観
ファインマンの経路積分量子化の方法では、今この場所の状態関数は、源泉関数と伝播関数の畳み込み積で表わすことが出来ます。
状態関数をフーリエ変換すると、関数の畳み込み積のフーリエ変換は、それぞれの関数のフーリエ変換の積で表わすことが出来ます。
よって、状態関数は、源泉関数や伝播関数のフーリエ係数(周波数特性)の積を確率振幅として持つ平面波の重ね合わせとしても表わすことが出来ます。
確率振幅を詳しく書くと、源泉関数や伝播関数を振幅としてもち波数と振動数で決まる位相をもつ複素状態ベクトルの、起点と終点で決まるあらゆる経路における和で表わされることがわかります。そして、連続して起こる独立事象は、足し合わされた結果の状態ベクトルの積の形で書けることが分かります。
この確率振幅に大きく寄与する状態ベクトルが、実際に顕現する現象です。
そして、寄与度合いを決めているのは、波数(運動量)と振動数(エネルギー)で決まる位相であり、位相の変化が極小となるところが、現象として現れている部分です。
これが、ファインマンの経路積分量子化のエッセンスです。
エネルギーの状態と、どういう現象が起こってくるかということは密接に関係しています。
人生の旅路の過程で、そのときに持っているエネルギーによって、あらゆる可能性の中から実際にはどの点に到達できるのか、あらゆる人生の可能性の中から実際にどの人生を体験するのかが大きく変わってきます。
宇宙はこのような仕組みでできています。
一般の方々は、表層に現れている現象というものが全てであるという幻想にとらわれているようです。
現象は結果にすぎないことに気付きましょう。
あらゆる可能性の中から、エネルギーとの関係において現れた結果がこの世の現象なのです。
表層に現れている現象には詳しいが、その現象がなぜ現出しているのかというところには到っていない方々が多いようです。
聖書なども、奇跡などの現象面は多く語られていますが、その奇跡が起こる仕組みはほとんど語られていません。
その意味で、私は華厳経などに代表される仏教が好きです。華厳経の「毛穴の中に含まれる全宇宙、一瞬の中に含まれる永遠」の考え方は、ファインマンの経路積分における源泉関数と伝播関数の畳み込み積(全空間と全時間における足し込み)に対応しますし、唯識の考え方は、状態ベクトルの足し合わせの過程でこの加算に大きく寄与している部分がこの世に現れている現象であるという経路積分の考え方と対応すると考えています。そして、この寄与度合いに大きく関係しているのがエネルギーです。
また、表面に現れてくる現象だけにとらわれすぎている方々も多いようです。現象が何故起こるのかというところに気付けば、現象を好転させることも出来るのでしょう。
また、現象は表面に現れてくる一時的な事象であるということや、その現象を現出させるさらに根源的な仕組みの存在がある事に気付くことによって、この世に現れている現象へのこだわりは、大きく軽減されるでしょう。