ニュートン力学は波動性の帰結

 

以前「唯物的自然科学観の否定」で、この世界が波動だからこそ、ハイゼンベルグの不確定性原理が成り立つというお話をしました。

いろいろな運動量(速度といってもよい)の波を混ぜてゆくと、位置がはっきりとしたシャープな波が出来ます。

一つの運動量の波は、全空間に拡がってしまいます。

これが、位置と速度を同時に正確に測定できない不確定性原理の正体で、波束(波のかたまり)の性質として説明が出来ます。

そして、不確定性原理が成り立つから、ニュートンの運動方程式が成り立つのだと私は最近考えています。

位置と運動量の不確定性関係は、

・・・@

ここで、は位置の不確定さ、は運動量の不確定さ、はプランク定数です。

また、エネルギーと時間についても同様に不確定性関係が成り立ちます。

・・・A

@、Aより、

・・・B

が成り立ちますが、マクロな尺度(ニュートン的世界)で運動量が変化する場合、@より位置の変化は微小なものとなります。同様にマクロな尺度でエネルギーが変化する場合、Aより時間の変化は微小なものになります。よって、マクロな尺度で考えるとBは、

となります。

運動量は質量と速度の積、エネルギーは力と距離の積であることに注意すると、

つまり

という、見慣れたニュートンの運動方程式が出てきます。

つまり、この宇宙が波動だからこそ、ニュートンの運動方程式も成り立つのだと考えると自然なのではないでしょうか。

ニュートンの運動方程式から、エネルギー保存則や、運動量保存則が導き出せますが、ニュートンの運動方程式だけは、天下り的に与えられました。

しかし、この宇宙が波動であると考えることにより、天下り的に与えられていたニュートンの運動方程式が、不確定性原理から導き出せるのです。

 

また、速度についても

@、Aより

となりますが、ドブロイの公式およびを使うと、

となります。は、波束の群速度を表しますので、時間に対する位置の変化が波束(波のかたまり)の速度であることを不確定性原理は言っています。つまり、我々が粒子とイメージしているものは、実は波のかたまりである波束なのです。そして粒子の軌跡は、実は波束の軌跡なのです。

 

「諸行無常と相対論的粒子場」でお話した、Klein-Gordon方程式を満たす波の場合、

の分散関係があるので、波束の群速度は、

となります(とすると)。よって、

あるいは、

 

となります。

つまり、波束の速度を限りなく光速に近づけると、周波数は限りなく無限大に、よって時間の経過は限りなく0に近付いて行くことが分かります。

これこそ、Klein-Gordon方程式が相対論的粒子場の方程式と呼ばれる所以です。